「あたし…もう、俊介に会わないつもりでいた」



「どうしてですか?」


俊介があまりに真っ直ぐ私を見るから、うまく言葉が出てこない。



「だって、失恋しちゃったし…」


「ふっ…瀬戸さんはいつも自分勝手ですね」


「そこ、笑うところ?」


まったく、この人の感覚は…


あ、そうやって考える所…少し似てきちゃったかもしれない。


そう思ったら私も笑いを堪えきれずに吹き出した。


「勝手に恋して、勝手に失恋して。忙しい人ですね」


「酷いな。でも、あたし気が付いたの…」


ヤバイ…また泣きそうになってる。


「あたし、何もしてなかったって…」


俊介の言う通り、勝手に恋をした。


でも、だからって私は何も努力もしないで。

ただ、俊介がこっちを向いてくれるのを待って

期待して、結局求めているだけだったんだって。


傷付く事を怖れて、俊介と同じフィールドに立つことさえしていないまま逃げていた。



そんなの、うまくいくわけないのに。



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