テレビの中の彼女は、弾けるように笑っていてやっぱり可愛いと思ってしまう。


「発売前から問い合わせ殺到だとさ…」


何も知らないみなみは、グロスを塗り直しながら言った。

私は何も言葉が浮かばなくて、尚も俊介の事が頭から離れない自分に苛立つ。


「ね、本当に大丈夫?顔色悪いよ?」


「だ、いじょうぶ。今日は営業に行かないで、伝票処理するから」


「そう?無理しないでね」


みなみはぽんっと私の肩を叩いて、そのまま休憩室を出ていった。

きっと、みなみは気付いているはずなのに。

今はそれがありがたい。


結局私は逃げているだけ。

傷付くのが怖いんだ。

立ち直れなかったら?


そう思って、踏み止まって踵を返して。

本当の気持ちを押し殺して、無理矢理呑み込んだのだ。


本当に、情けない。


ただ、一言好きだと伝えるだけなのに。


その一言には、色々な想いや重みが合わさってそんな簡単な言葉ではなくなった。


好きだからこそ、前に進めない。


どうしようもできなくて、想いだけが大きくなって苦しくなる。


苦しくて苦しくても、目の前の現実は何も変わらない。

仕事に追われる毎日に、うんざりするくらい。


私だって、毎日を楽しく笑顔で過ごしたい。


それは、愛があってからこそ叶うもの…




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