『戦え、凪。アタシの時の記憶はあるのだろう?』 声が聞こえた、気がした。 有り得ない、だって。 自分の口から声が聞こえたから。 でも、あたしに限ってはあり得るかもしれない。 確かに、アリスの時の記憶は蘇っていた。 静かに目を閉じる。 頭に入ってくる情報は音と気配のみ。 ただ、 今のあたしにはそれだけで十分だった。