しかも、考えているうちに、彼がその少女に気がつかれたようです。


 にこっと音がしそうなほどの良い笑顔をその少女に向けられました。


「とりをみなかった?」


 鳥?それならたくさん飛んでいます。


 ここの辺りにもたくさんいます。


 この人は、この子たちがお見えになっていないのでしょうか。


 いえ、こんな皮肉を言ってはいけませんね。


 人間の目はいろいろ不便ですから。


「えっと、どんなとりですか?」


 少女はまだ寝間着姿である自分を隠すように、顔だけを出しながら、彼に聞き返します。