と、いうわけで今日は二時間、数人に話しかけられたが、さっきの少女、稲鳥小鳥以上に話すことはなかった。


 ああ、とかいや、とかだけ返事をしていた。


 家に帰る。


 誰もいない。


 昔は、いや、そういっても最近なのだが、親がいなくなった。


 転勤とか、そういうことじゃない。


 死んだ。


 事故にあって、死んだ。


 俺が事故にあって数カ月、俺を病院に見舞いに来た時。


 事故にあった。


 つくづく不幸な家族だと思う。


 俺は事故で記憶を失い、親は命を失った。


 全く、最悪だ。


 その事故で親を失った後、俺は親戚に引き取られた。


 だが、今俺は実質一人だ。


 この親戚も、今は病院にいる。


 その事故が起きたとき、俺は気づいた。


 俺が不幸の原因だ、と。


 俺と仲良くなった奴は不幸になる。


 友達を作らないのには、そういう理由もあった。