不幸な彼と私の恋

「スズ・・・・・・雀君!私、覚えてる!?」


 なんだ?こいつは。


 何か用なのか?


 確かこいつは・・・いや、変に覚えていると何か気でもあるのかと思われてしまうかもしれない。


 そこから近づかれても困る。


「誰だ?」


「私、稲鳥小鳥!覚えてない?」


 それは知ってる。


 まあそれを言っちゃだめだよな。


 妙に気にしていることがばれては仲良くされそうな気がする。


「・・・・・・悪い、全く」


 その言葉を言った瞬間、彼女の顔が固まる。


 見る見るうちに彼女の顔がはたから見てもわかるぐらいがっかりしているのがわかる。


「稲鳥さん、だっけ」


 名前をまだ微妙に覚えていないふりをする。


「小鳥でいいよ!」


 まあここで呼ばないと変に意識しているような感じになってしまうだろう。


 まあ、今はそんなことはどうでもいい。


 それより気になることがある。


「じゃあ小鳥。さっき『すず』って言って言い直したのはお前が俺の昔を知っていて、その時のあだ名か何かか?」


 こいつはさっき『すず』と言って言い直した。


 そのまま『め』と言えば良かったのに。