不幸な彼と私の恋

 その教師が自己紹介をしろ、と言った。


 ちなみにさっきの女は稲鳥小鳥と言うらしい。


 なんだか聞き覚えが・・・気のせいか。


 誰か似たような人がいたんだろう。


 俺の番が来た。


「烏山中学校出身、小鳥遊雀(タカナシスズメ)です」


 自分の名前を言う。


 自己紹介はできるだけ短くする。


 誰かに共通点を見つけられて仲良くなろうとされても困る。


 だから自分の名前と出身校だけでいい。


 全員の自己紹介が終わり、次の奴の番になる。


 ほかの奴らの名前はどうせ憶えないんだ。


 無視、というか聞き流す。


 自己紹介はそれからしばらく続いた。


 そのあとはすぐ休み時間になった。


 俺は少々視力が悪いので、時計を見ようと目を細めて前を見ていると、あの少女が俺の方を見ていた。


 いや、俺の目の前に立っていた。