俺が事故で記憶を失ったとき。


 親以外、誰も会いに来なかった。


 そう、その時友達だと思っていたやつらがいたはずなのに。


 一人も来なかった。


 この時、俺は知った。


 人はみんな信じられないと。


 その時から俺は友達は作らないようにした。


 もうあいつらなんて信じられるか。


 教室に入って寝たふりをする。


 こうすることで誰も話しかけてこない。


 みんな仲良くなるまでは俺が伏せている限り話そう、とは思わない。


 つまり初めが肝心、というわけだ。


 よくあることだ。


 俺は毎年この手で誰とも仲良くならないようにする。


 これからは、だ。


 しばらくすると慌てたように一人の少女が教室に入ってきた。


 その少女のことがなぜか少し気にかかりちら、と見てみる。


 何やらきょろきょろしている。


 ――ああ、友達を探しているのか。


 ああいうのは俺の嫌いなタイプだ。


 いや、嫌いになったタイプだ。


――ああ、うっぜ。