はちみつレモン



終わった。


俺らの夏が。


毎日毎日サッカーに明け暮れる日々が・・・


監督に怒られて悔しがることも

仲間に励まされることも

あいつの笑顔に癒されることも


最高のメンバーとボールを追いかけることもないんだな。


もう少しだった。


あと一歩だった。


あと一歩で・・・


全国だった。


ずっと追いかけてきた夢が叶うところだった。


珍しく、優しい笑顔で微笑む監督。


涙をこらえきれず泣く副キャプ。


マネージャーの女の子は皆泣いていた。


けど、


あいつは泣いていなかった。

ぐっとこらえていた。

涙はすぐそこに見えてたけど
流していなかった。


いつもかげで働いてくれてたマネージャー。


3年はあいつと村中と内田。

2年は野村、沢田、藤井、新井。

1年は山川、奥井。


俺、ちゃんと覚えてんだからぁ。


白石、あいつは特別だったけど。


皆、いっぱい泣いていた。

俺は泣かなかった。

全国へ行けなかったのは、キャプテンの俺のせいだ。


俺が泣く立場じゃないと思った。


後悔と悔しさと申し訳なさと
俺は頭が…おかしくなりそうだった。