「ひっ、日高くんって、普段どんな音楽聴くの?好きなアーティストとかいる?」
日高くんのことが知りたくて、あたしは思いきって聞いてみる。
「うーん、そうだなぁ。俺がよく聴くのは……」
「あっ、そのグループあたしも好きだよ。と言っても、好きになったのはまだ最近なんだけどね」
「マジで?柏木も好きなんだ。あ!
それなら、柏木がまだ聴いてない曲があったら、今度CD貸そうか?」
「えっ、いいの?」
「おう」
「わぁ、ありがとう」
それから日高くんとアーティストの話で盛り上がっていると、しばらくして部屋のドアが開き…
「わりぃ、遅くなった」と言って、誰かが部屋の中へと入ってきた。
その人物を見て、日高くんと話せて舞い上がっていたあたしの気持ちは、一気に萎んでいく。



