なぜなら、大和が廊下で、いくつかの大きめの鞄に自分の荷物を次から次へと入れていたからだ。 「ねぇ、大和。どうしたの?その荷物。どこか、旅行にでも行くの?」 疑問に思ったあたしが聞くと、大和が動かしていた手を止めて、あたしをじっと見た。 あたしを見る大和の目が、今まで見たことないほどすごく冷たい。 「はぁ?ちげーよ。俺、この家から出て行くんだよ」 「え?」 出て……行く?