そんな調子で先生の話もちゃんと聞けないまま、午後の授業は全て終わって、放課後。 今は6月の梅雨の時期だから、教室の窓から見える空は、どんよりとした灰色の雲に覆われていて…… 今のあたしの気持ちと、同じだなぁ。 そんなことを思いながら、あたしは家に帰る準備をし終えて、自分以外誰もいない教室を出ようと席を立ったとき…… 「柏木っ!」 廊下のほうからあたしを呼ぶ声がして、そちらへと振り返ってみると…… そこには、真剣な顔をした、日高くんが立っていた。