あたしは恐る恐る、自分と同時にケーキの入った容器を掴んだ手の主のほうに目をやる。
「!」
え、ちょっと待って。
その人を見た瞬間、あたしはその人から目が離せなくなってしまう。
だって、あたしと同時にケーキを掴んだ人は、あたしと同年代くらいの男の人で、長身でスタイルも良く、目鼻立ちも整っていて、めちゃくちゃかっこいいから。
テレビじゃない、現実の世界にもいるんだ……。こんなにかっこいい人。
あまりのかっこよさに、あたしが思わず彼に見とれていると……
彼が、ニコッとあたしに微笑んで……
「……なぁ、これは俺に譲ってくれねぇ?」
開口一番、彼はあたしにそう聞いてきた。
「え……?」



