「なぁ、柏木。さっきからずっと、シャーペンを持った手が止まったままだけど、大丈夫か?」 「!」 心配そうにあたしに声をかけてくれたのは、日高くん。 「柏木、時々苦しそうに唸ってたし。 具合でも悪いのか?」 「えっ!いや、ううん。どこもしんどくはないんだけど……ちょっと分からない問題があって」 「どれ?」 「こっ、この問題なんだけど……」 あたしが指さした英語の問題を見ようと、あたしの正面に座っていた日高くんが、あたしのほうへと身を乗り出してくる。