彼と彼女とは家が隣同士のご近所であった。 彼の家は、高層ビル並みに高く、遊園地並みに幅があった。 都心とはいえ、高級住宅地ではなく、研究施設が近いという理由で土地一帯を買い、第四の家を作り上げた高浜家。 その隣に位置する高層マンションの五階に住んでいたのが、彼女だった。 高浜家の門には門番が二人、防犯カメラもいくつも設置され、セキュリティも厳重であった。 彼の家の前を通る人はみな下を向き、足早に通りすぎていく。 それほど権力が強すぎる一家であったのだ。