「いらっしゃいませ」
いつもみたいに接客をして、
席に案内すると、
久しぶりに見た本山の私服姿に
少し緊張する。
「矢上、何時に終わんの?」
メニューを見ながらの本山にそう聞かれ
「18時だよ」
と答えると、
注文をした後に
「じゃあ待ってるから、少し時間ほしい」
赤く染まった頬をこっちに向けられ、
つられて顔が暑くなった気がした。
「わかった」
私は仕事をしながらも、
緊張で小さなミスを繰り返し
一緒に入っていた人に心配されてしまうくらいには
いっぱいいっぱいだ。
長いような短いような
バイトの残り時間をこなし、
やっと上がれる時間になった。
更衣室で制服に着替えなおすと、
ロッカーの鏡で紙を手ぐしで整え出た。


