【短】真夏のmystery kiss*+.




私は自分の心臓の存在を

ここまで自覚したことはないくらい

はっきり大きく脈打っているのを認識した。


「リョウ、なんか、違うよ……」

なぜかうまく出なかった声で

そう伝えると、


「うん、でもこれも俺だし。

……あー、早まったかなー。

ナツがそうやって固まっちゃうから、

いつもは仲のいい幼馴染でいるよう努力するよ」


なんて、ふうと息をついた。


私のこのドキドキは、

『恋』のドキドキ?

リョウと私は両思い?


……まだわからない。


「私、リョウのことずっと

本当家族みたいに思ってて」

「うん」

昨日の夜ずっと考えてた本音を伝える。


「でもね、

昨日からリョウのこと、

なんかすごい男の子に見えて、

ドキドキ止まんなくて……!


私恋ってよくわかんないからさ、

その、私に、キスとかした人の事とか

リョウのこととか、考えてみるから、

だからっ……」


「うん、待ってる」

顔を上げると優しい顔のリョウがいて、

ほっとした。