私は自分の心臓の存在を
ここまで自覚したことはないくらい
はっきり大きく脈打っているのを認識した。
「リョウ、なんか、違うよ……」
なぜかうまく出なかった声で
そう伝えると、
「うん、でもこれも俺だし。
……あー、早まったかなー。
ナツがそうやって固まっちゃうから、
いつもは仲のいい幼馴染でいるよう努力するよ」
なんて、ふうと息をついた。
私のこのドキドキは、
『恋』のドキドキ?
リョウと私は両思い?
……まだわからない。
「私、リョウのことずっと
本当家族みたいに思ってて」
「うん」
昨日の夜ずっと考えてた本音を伝える。
「でもね、
昨日からリョウのこと、
なんかすごい男の子に見えて、
ドキドキ止まんなくて……!
私恋ってよくわかんないからさ、
その、私に、キスとかした人の事とか
リョウのこととか、考えてみるから、
だからっ……」
「うん、待ってる」
顔を上げると優しい顔のリョウがいて、
ほっとした。


