「とにかく、本山くんに何か聞いたら教えてよ?」
紫はきっと、
単純に犯人が知りたいのと、
私に何か、色恋沙汰が発生するようにと思ってるんだと思う。
「うん、もしなんかわかったらね」
多分ないけど。
心でそうつぶやいて、
でも突っ込まれてしまうから口には出さなかった。
改札で別れて、
私とリョウは2人でホームへ向かう。
うわ……
2人きり、気まずい。
しかも、電車とかホームとかって、
昨日の事思い出しちゃうよ。
私が思いっきり
気まずいと思っているのが伝わってしまったんだと思う。
リョウは私の頭にぽんと手をのせると、
「俺たちは、仲のいい幼馴染だよ。
今までずっとそうだ、それは違いない」
にっこりと、あの人懐っこい笑顔を見せた。
でも、すぐに瞳がまっすぐ私を捉えて、
「これからは、ナツのもっと近くにいたい。
……気まずくなっても、
それはナツが俺のこと意識してくれてるんなら、
いいや。
もっと、俺のことでいっぱいになっちゃいなよ」


