【短】真夏のmystery kiss*+.




改めてそう考えると、

『恋』ってなんだろうって。


「なんで、誰かは私にキスなんか……」

私がボソッと言った言葉は

並木に止まっていた大量のセミの鳴き声でかき消された。


私、その人を見つけたとして、

どうしたらいいんだろう。

今まではずっと意図を聞きたいって思ってたけど、

相当な自惚れでない限り、

私に好意を持ってくれてるってことだよね?

判明したら、それって告白を受けたようなものだよね?


そうだとわかると、

私はその人になんていうの?

今私に違う形でも好意を伝えてくれている人はどうするの?

なんて考えが浮かんできて。


いつのまにか考えてばっかりで

持っていたアイスバーは

残り数口が全部溶けて、手がべたべたになっていた。


ああ、暑い。

べたべたする。


気持ちがもやもやと、

空に浮かぶ入道雲みたいに

どんどん膨らんでいく。