「リョウ!?」
向こうからリョウが
私を見つけ駆けてくるのがわかった。
「ナツ今帰り?」
何故か驚いたようなリョウに
「うん、紫待ってて」
なんて顔に出ないよう答えたつもりだけど、
内心ドキドキで心臓壊れそう。
合わせてこの暑さでくらくらしてくる。
ベンチから立ち上がろうとすると、
かくんと膝の力が抜けたようになって、
私の前まで来たリョウに背中に腕を回され支えてもらってしまった。
「わっ、ナツ!大丈夫?」
視界がぐるんとし終わって、
気づくと、目の前にはリョウの顔が。
暑さのせいでかいている汗が
顔の輪郭を沿って滴る。
「だだだだ大丈夫!!!」
急いで両手で彼の胸元を押すと、
ふらつくくらいへばってる私の力じゃ、
リョウはびくともしなかった。
「電車次後5分で来るから座ってな。
ナツ飲み物持ってる?」
自然な流れでストンと座らされ、
上からにっこりと笑いかけられる。
飲み物……は補習後すぐに飲み終わってしまい
今は持ってなかった私は首を横に振ると、
リョウはふらっとどこかに行ってしまった。
そして手にペットボトルを2つ持ち戻ってくると、
「はい、ふらついたのは熱中症手前かもよ?
これ飲んでね」
片方を私に差し出す。


