教室を出ると

既に廊下の暑さにやられそうだ。


急に立ち上がったのもあるかもしれないけど、

さっきからの急展開にくらくらする。


「私がさ、遼太郎くんかなって思った理由、もうひとつあって、

実は職員室で彼に会ってるんだけど、

彼は私より少し先に出て行ったのを見てるんだ」


「リョウ、そういえば生徒指導だっていって職員室呼ばれてた」


2人で階段を下りながら、

昇降口に着く。


「リョウに本当のこと聞けっていうのはさ」

上履きから靴に履き替えながら紫に話しかける。

「それは、私に、その……あの、『した?』って聞くの?」


私がもじもじしてると

紫はふふっと笑って


「もし恥ずかしいんなら、ストレートに聞くんじゃなくて、

遠まわしに『職員室に呼ばれた後すぐ帰った?』とかって

聞いてみたらいいんじゃない?」


なんて、さすが紫だ。


「なるほど……」


「そうそう、遼太郎くんなら

夏愛相手に嘘なんかつかないから、

徐々に聞いていって、本当のこと聞いたら?」


「う、うん!そうする!」


そっか、リョウなら私に本当のこと教えてくれるよね!!

私はただ『解決するかもしれない』ということだけに

テンションが上がって

「まあ、それはつまり、愛の告白をきくことになるんだけどねー」

紫が何かを言っていたのには全く気がつかなかった。