次の日 僕はいつものように玄関をでていつものように教室にはいった。先に裕太がきていて転校生と話をしている。
[おはよう。裕太。]
[おう!おはよう。]
[お、おはよう。]
ちょっとためらったが転校生にも挨拶した。
[お、お、お、お、はよ。]
慌てたかんじで返ってきた。やっぱりいまにも消えそうな小さな声だった。
裕太のやつこんな短時間でよくあんなに仲良くなってさすがだな。
笑い合う二人を見ながら心のなかで呟いた。
自分の席について準備をし、いつものように読みかけの小説をひろげた。いま読んでいるのはミステリー小説だ。
自分のなかで一番のお気に入りで何度も読み返している。
小説のなかはこんな退屈な日々を忘れさせてくれるハラハラドキドキの物語だ。
だから僕はミステリーが好きだ。
僕の日々にないものをもっている。
それがなんか羨ましいかんじもする。
