好きとスキが重なった日

「あのさ…深瀬が夏海先生を選んだ理由って…」


俺が夏海先生を選んだ理由を聞こうとした瞬間、深瀬が人差し指を立て、鼻に当てると、しーっのポーズをとった。


俺が話すのを止め、隣の部屋に耳をすませると、扉をこじ開け図書室の中に入ったのか、通称鬼の声が近くから聞こえる。


「おーい!どこに隠れたのかな?
隠れても無駄だよ
何せ、君がここの部屋にいることは知ってるんだから

10秒数える前に出ておいで?
そしたら宝箱のありかを教えてあげるよ?

ワンワン」


通称鬼の優しく問いかける声を聞いた俺は、身の毛がよだつ程怖くなってきた。


あれは罠なのだろうか…?


深瀬に訊こうとしても、声を出したらバレるだろうし…。


俺が深瀬の顔を見合わせると、深瀬が首を横に振った。
そして俺にジェスチャーし、何かを伝えようとしている。


手の向きを物置の入り口に向ける。
今なら逃げられるとそう思ったのか、口パクで1、2と数え始めた。


口パクで"3になったら物置から走って逃げるぞ!"

そう深瀬は言っていた。


深呼吸をした深瀬が1、2、3と言った瞬間、入り口に向かって一気に走り出す。

それに気づいた鬼が、本棚を移動させようとしているの見て、深瀬が胸ポケットから何かを取りだし、それを投げ捨てた。






あれは・・・


ただのきびだんごだ…。


でも、何できびだんごなんだ?