「母さん、美莉亜の前で恥ずかしいだろ!
俺はもう、母さんが思ってる程子供じゃないんだ」


恥ずかしがる悠真を他所に、否定をするかのように、悠真の頭をくしゃくしゃにする悠真のお母さん。

くしゃくしゃにされた瞬間、すぐさま髪を指で手直しした悠真がいた。

前髪がやけに気になるみたい。

私からみたら、そんなに気にならないのに、悠真は本当にオシャレさんだね!


元の私は、最近美容に気を遣うようになった。


前までは、使えたら何でもいいや!って、甘く考えていたから、いざ友達やお姉ちゃんに"これオススメだよ~!"って言われたらすぐ買っちゃった。

そのおかげで最近肌が白くなって、つるすべになった。

それなのに、悠真全然気づいてくれない・・・



「悠真はいつまでも、お母さんの可愛い子供だよ」


「母さん、俺にとっても母さんは…他の誰よりも、比べ物にならないくらい最高で、美人で、優しくて、自慢の母親だ!」


「ありがとう、悠真!」


「母さん、そろそろ美莉亜と二人っきりで話したいから、ちょっと出てくる!

行くぞ!美莉亜」


お母さんに向かってそう言った悠真は…

お母さんから離れて私の元へ近づき、座っている私の腕を掴むと、病室の外に連れ出した。


「悠真、どこに行くの?」


何の行き先も告げない悠真に向かって、私は咄嗟に声をかける。


いつまで、私の腕を掴むつもりなんだろう。