好きとスキが重なった日

「それより、お前の好きなやつはだぁーれだ?」


あの頃言われた言葉と同じ言葉を彼に言われて、私は戸惑ってしまう。

あの頃とはもう違うのに。



私がう~ん としかめっ面の顔をしていたら、彼はだて眼鏡を外して、私に突然キスをした。

そのキスは甘く、どことなく切なく、ほんのりしょっぱかった。


「じゃあまたな!」


と理科室をそそくさと走り去って行った彼。


彼の後ろ姿を見つめながら、その場に立ち尽くしてしまう私。



″眼鏡の裏に隠されたイケメンの素顔″


眼鏡をかけたら地味な彼なのに、なぜ眼鏡を外したらイケメンの顔に変身しちゃうの?




あっ!そういえば名前を聞くのを忘れてしまった。




まぁいっか。
そうして私も彼の姿を追いかけるように、理科室を後にする。