好きとスキが重なった日

そして暫くして連れてこられた場所は、誰もいない理科室。


頭に覆い被せられていたブレザーを彼が優しく取った。



「あ、あの…
さっきはありがとうございました

それと手…」


私がそう声を掛けると、彼は驚いた表情を私に向け、すぐさま握っていた手を放す。



片手でブレザーを取るなんて、案外器用なのね。