胸騒ぎも忘れてしまった今日、
修学旅行の日。
朝早く学校に着いて、
新幹線に乗る。
「お前らー!
新幹線の中では静かにしろよ!」
慎一さんは皆にそう渇を入れると、
こちらを見た。
「おい、真知子こっち来い。」
慎一さんの指定席の横は空いてるらしく、
座らせてもらった。
「どうしたんですか?」
私がそう言うと慎一さんは髪の毛をクシャクシャとかいて考え込んだ。
「ちょっと今日、変な夢見てん。」
「変な夢…?」
慎一さんは頷くと、
こう言った。
「なんかな…
あの森のなか…俺らがここに来るキッカケになった場所が映ってて、誰の声か分からんねんけど、
『もうすぐ帰れるからね』
って聞こえて、その夢は終わってん。」
もうすぐ…帰れる…?
「いつも夢なんかあんま見ーひんから、
なんかあんのかって思って」
あ…
「そういえば、
修司くん言ってました!
『この為に神頼みしたってもんだ』って」
「この為って…修学旅行の事かいな?」
私は頷いた。
「てことは…
修学旅行が終わったら、もとに戻んのかな…」
多分、
そうだと思う。
美希と…妖精と…
離れちゃう…


