パーティも中盤に差し掛かった頃、ふたりの父が代表挨拶として壇上でスピーチをしていた。



「皆様、本日はお忙しい中我が社主催のパーティにご来場下さいまして誠にありがとうございます」



そう言って頭を下げると会場内から割れんばかりの拍手が起こる。父はその後謝辞の口上を述べると会社の歴史について語り出した。



「私、ちょっとお手洗いに行って来るね」



隣に座る少年に言うとそそくさと席を立つ少女。その姿を見送り少年は近くにあるテーブルからシャンパンを取る。



「お坊っちゃま、ご機嫌如何ですか? 」



シャンパンを飲んでいると、不意に声が掛けられる。
振り返るとそこには、パーティ開始まで遊んでいた社員がシャンパンを持っていた。



「お注ぎ致しますか? 」



「いや……」



手だけで要らないと告げると隣に来るように促す。すると社員は一瞬躊躇うような表情をするも隣に腰掛けた。



「では此処で、我が社と我がグループの重大な発表をします」



会社の歴史を終え、ひとつ咳払いをする父。



お手洗いの割には帰りの遅い少女は大丈夫かと社員に声を掛けようとした少年は、父の声とともに出てきた人物に目を疑った。



「我が娘とその婚約者です」



少年とお揃いのブロンドの髪に、黄色い花の付いたベールを被った少女は此方を見てゆったりと微笑み優雅に一礼した。