闇の中で束の間の夢を




森はあの時と同様、物々しい様子で少年を迎えた。



あの時もこうして少女を探しにきたのだが、少女の元に向かう途中に足を怪我してしまったのだ。



「確かこの辺りだったような・・・? 」



少年は自分の足を取った崖を探し歩き、そして少女のものと思われる髪飾りを見付けた。
黄色い花に黒いヴェールが付いたそれは普段の少女からは想像も付かないほど妖艶で、その輝きに少年は魅了される。
と、何やら遥か下の方に黒い小柄な物体が落ちているのがわかった。



「……あれは」



少年は下に広がる闇を見据えるとひとつ深呼吸をし、暗闇に横たわる物体の元へ走った。