だって、言いたいんだもん。
『幸せな時間をありがとう』って気持ちを込めて。
──ピロン♪
白馬くんを見て微笑んでいると、ふいに軽快な音が鳴り響いた。
「…あ、私だ」
カバンの中からスマホを取り出すと、お兄ちゃんからのLINEだった。
【おふくろが、めずらしく仕事が早く終わったから、久々に外食しようって。
なるべく早く帰ってこいよ】
その文面を見て、久々の家族揃っての外食を嬉しく思う反面。
白馬くんとの1日の終わりを告げる意味なような気がして、寂しい気持ちになった。
「…ごめん、白馬くん。お兄ちゃんが早く帰ってこいって…」
そう伝えると、白馬くんは表情を変えないまま「…そう。」とだけ呟いた。
そして、そのままクルッと踵を返して去って行こうとするから、慌てて呼び止める。
「最後にひとつだけ! …いいかな?」
「…なに?」

