もう、これ以上なんてないんじゃないかってほど幸せな1日だった。




「…それじゃ」




そう言って、白馬くんはクルッと私に背を向けてしまう。



ワガママなんて言っちゃいけない。


わかってるけど、なんだか名残惜しくて「ま、待って!」と、

慌てて白馬くんの服の裾を掴む。




「なに?」


「え、えっと……」




咄嗟に掴んでしまっただけだから、理由なんてものはない。



きっと、こんなに長く一緒にいたことがないからか、

ただ別れるのが寂しくなってしまっただけだと思う。




何も言えなくてただ俯いていると、

上からはぁ、と短いため息が降ってきた。




「……友愛」


「えっ!?」




その言葉に反応して、バッと顔を上げると

軽く微笑みを浮かべた白馬くんと、パチッと目が合う。