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そのあとは、どちらともなく言葉を発することはなく、

私たちは観覧車を降りたあと、そのまま遊園地を後にした。



その頃には、激しかった鼓動の音も鳴り止んでいて。

頭もすっかり冷静さを取り戻していた。



傾き始めていた日も、今じゃすっかり夕日の色をしていて。


私たちの影を、微かに浮かび上がらせる。




「今日はありがとう! すっごく楽しかった!」


「…ん。送って行かなくて、平気なの?」


「大丈夫だよ。まだ明るいんだし」




待ち合わせ場所であった駅前の一角で立ち止まって、向かい合う。



夕日をバックにして立つ白馬くんが、なんだかこうごうしく見えてしまう。




…楽しかった。本当に。


怒った顔、微笑んだ顔や、ちょっぴり子どもっぽいところ。

あんまり感情を表に出さない白馬くんが、今日は私にいろんな表情を見せてくれた。



私のワガママにも嫌な顔なんてひとつもせず。

…名前で、呼んでくれた。