そんな中、
白馬くんの熱っぽい息遣いと共に、甘く囁くような声が私の耳に届いた。
「…………っ、ゆあ…」
耳に触れるか触れないかほどの距離で放たれた言葉に、
私の鼓動がさらに加速する。
もう、ドキドキじゃ収まらなくて。
走ったあとみたいに、バクバク鳴っている。
気がついたら白馬くんとの距離はもとに戻っていて。
──…………っ、ゆあ…
その言葉が、私の名前だと理解したのは、それからしばらく経ってからだった。
「……えっと、あの、えっと…」
「………」
混乱して、同じ言葉を繰り返してしまう。
そんな私をよそに、窓枠に腕をかけて、その向こうを静かに見つめる白馬くん。
……さっきのは、反則だよ。
名前で呼んで、って言ったのは私だけど、
白馬くんがあんな真似するんだもん。

