そこまで言って、口をつぐむ。
これはちょっと図々しいお願いだったかも…。
白馬くんがあの時、
名前で呼んでって言ったのは
ただ名字呼びされるのが嫌いだから、とも考えられるのに。
「…やっぱ、なんでもない。ごめんね忘れて!」
他のお願いを考えなくっちゃ。あまり図々しくないものを。
そう思ってガラスの向こうの景色に、再び目をやった。
ゴンドラはかなり高い位置まで来ていて、もうすぐでてっぺんに差しかかる。
そんな時だった。
──ガタン、
とゴンドラが揺れて。
気がつくと、白馬くんの顔が私の顔のすぐ隣にあった。
「…え、え、え!? 白馬く……っ」
突然のことに、頭が沸騰したかのように熱くなる。
鼓動がドキドキと早鐘のごとく鳴り響く。
白馬くんの吐息が首筋にかかって、くすぐったくて。
なんだかクラクラする。

