ゴンドラがゆっくりゆっくり回転し、
空との距離が少しずつ近くなっていく。
ここから見える景色は変わらない。
あの日、迷子になって泣き出してしまった私は、お兄ちゃんに連れられこの観覧車に乗った。
まだ小さかった私だけど、
夕日に照らされた街がキラキラと輝いてて、子どもながらに『綺麗』だって思ったことを
今でもはっきりと覚えている。
「………」
今目の前に座っているのはお兄ちゃんではないけれど、
なぜだか無言で景色を見つめている白馬くんが、あの頃のお兄ちゃんと重なって見えた。
「……なに?」
「なっ、なんでもないよ!」
懐かしさに浸って、白馬くんをボーッと見つめていると、
怪訝な顔で見られて慌てて視線を景色に戻す。
…危ない、危ない。
変な顔とかしてなかったかな?
「……ねぇ、」
「……は、はいっ!」