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「……もう、大丈夫だよ」
しばらくしたら体調もよくなって、
私は上体を起こし、白馬くんに微笑みかけた。
そんな私に白馬くんは、「…そう。」と言って笑みをこぼす。
「…そろそろ帰る?」
「…あ、待って」
立ち上がってそう尋ねた白馬くんの服の裾を掴んで制す。
白馬くんは「なに?」と首を傾げる。
「…あのね、最後に乗りたいものがあるの」
このまま帰っちゃうと、チケットをくれた芳穂さんに示しがつかない。
そう思った私は、“ある乗り物”を指差して、白馬くんの視線を促した。
『酔っておいて、まだ乗るの?』
って思われるかもしれないけれど、どうしても乗りたかったんだ。
だけど、予想とは反して「あれなら…」と納得してくれたようで
小さく首を縦に振った。

