「……んん……?」
突然、顔に影が差し、「まさか…」と思って目を開けると。
……いつ帰ってきていたのか。
今日見てきたどんな白馬くんよりも、不機嫌な顔がそこにあった。
……最悪だ。
気づかわせちゃった上に、こんなところで寝てただなんて。
バカで、無神経にもほどがある。
とんだ迷惑女だ、私。
「……ねぇ、」
「は、ふぁいっ!!」
普段よりも低い声で呼ばれて、バッと上体を起こし、
思わず身構えると。
白馬くんは、私の横にドカッと腰を下ろし、突き刺すような視線を送る。
見て取れるほど、不機嫌度は最高潮だ。
……なんかもう、この先に言われる言葉が予測ができるような。
「……バカなの?」
うん。わかってた。
さっきは目で訴えかけるだけで言葉にはしなかったのに、
ついに言われてしまった。

