寝癖頭を慌ててとかし、あらかじめ準備していた服に着替えて、

必要最低限のものをバックに詰め込んで部屋を飛び出した。


その時間、わずか1分。




「……おー、友愛。そんなに慌ててどうし……


「ごめん! 今お兄ちゃんと話してる時間ないの!」




廊下をパタパタと走っている時、いつもなら聞き分けられない声が聞こえたけど、

それをも一瞬で交わし、階段を駆け下りる。



後ろから「ぐはぁっ」とか悲鳴が聞こえたのは気のせいだと思っておこう。





──…走って走って、待ち合わせ場所である駅前に着いたのは

約束の時間の5分前だった。



……よかった。間に合ったみたい。




「………えっ」




だけど、ホッとしたのもつかの間、

私のすぐそばで起きている光景に思わず足を止めた。



……あれ、白馬くんだよね?


彼だとわかってるはずなのに、私の足はそちらには向かず、

近くにあった像の後ろに身をひそめる。