教室内をキョロキョロと見渡して、5秒ほど。
──…私は、その姿を視界に捉えた。
教室の窓側の一番後ろの机の上。
本を片手に、黙々とお箸を動かす、白馬くんの姿を。
日の光に照らされ、少し茶色がかった髪の毛や切れ長の瞳はキラキラと輝き。
ありきたりかもしれないけど、それには『綺麗』とか『美しい』って言葉がぴったりだと思う。
単純明快。わかりやすくていいよね。
「………なにしてるの?」
突然の声にびっくりして、声の主を見やれば
不審な目で私を見る白馬くん。
そりゃそうだ。
白馬くんから見れば顔だけ、廊下から見れば身体だけなんだから。
廊下を通った人は、さぞかし異様な目で私を見ていたんだろうなぁ…
と考えると、急に恥ずかしさが込み上げてきて、慌てて教室の中へ。
そのまま、後ろ手でパタンと扉を閉じる。

