クール王子なキミは許嫁!?





────

─────────…




「……はぁ。」




扉の前で小さく息をつく。




一年生棟三階の端に位置する第二講義室は、5組の教室からも近いためか息が切れることはなく。


このため息が緊張からくるものだと理解するまで、
それほど時間はかからなかった。




昨日とは違って、この扉の向こうには確実に白馬くんがいる。



昨日の緊張感とは違ったものが、私の心の中を支配していた。


それは、誰かに気持ちを打ち明ける時のドキドキと似ている。




デートじゃない。

ただ、遊びに誘うだけ!




そう自分に言い聞かせて、扉に手をかける。




「……し、失礼しまーす。」




小さく呟き、かけていた手に力を込めると、極力音を立てないよう静かに扉を開く。


僅かに開いた扉の隙間からひょこっと顔を出して、中の様子を伺う。



もし、お昼寝とかしてたら、邪魔になっちゃうもんね。