「…立ち話もなんだし、とりあえず座ってちょうだい?」


「え、あ、はい。失礼します…」




芳穂さんに促されて、机を挟んで芳穂さんの向かい側にある椅子に腰掛ける。




…………




……沈黙。


見に覚えのあるシーンとした静寂が部屋を支配する。



この前、白馬くんと話した時にもこんな沈黙があった気が……。


親子ってすごいなぁ……



……じゃなくて!!




一人あわあわと慌てていた私は、




「友愛ちゃん」


「…ふぁいっ!」




突然、芳穂さんに名前を呼ばれ、驚きと動揺のあまり思わずガタンと席を立つ。




………しまった。


これじゃあ、授業中に居眠りをしていたら突然教師に名指しされ、勢いで席を立ってしまった生徒だ。




「……あ、はは…今日暑いですね〜!」




何とか誤魔化そうと、手をうちわに見たててパタパタと顔を仰ぐ。



きっと、こんなにも暑く感じるのは、

私の顔が恥ずかしさのあまり真っ赤になっているからだと思う。