「…あ、うん。さっき執事の山中さんに起こされたの。
私にお客様が………」
そこまで言って、はっとする。
「………ぁぁあああ!!」
私の突然の雄叫びに、お兄ちゃんはビクッと肩を震わせる。
「どうされましたか?」と、四方八方からメイドさん達が集まってきた。
「………ど、どうしたんだ?」
「……え、あ、客室間に、お客様待たせてるんだった!」
そうだ。私、客室間に向かってる途中だったんだ!
お兄ちゃんとの会話に気を取られて、忘れかけてたよ……。
「それじゃ、私はこれで!」
お兄ちゃんにビシッと敬礼のポーズをして見せて、足早に階段を一階まで下り切る。
「おう。あ、急ぎ過ぎて転けるんじゃな「ふぎゃ!」
お兄ちゃんの忠告も虚しく、なぜか何もないところで転ぶ私。
二階からは、「やっぱりな」と言わんばかりの笑い声。

