佳菜美ちゃんはまたか、とでも言いたげな目で窓の外を眺める。
朝の8時35分。
ホームルームが始まる10分前に、決まって彼は登校してくる。
御之 白馬《ミユキ ハクバ》くん。
校内ではもうすっかり有名になってしまった彼は、我が1年5組の王子様。
「しっかし、王子様って言われてるのに友愛は全然興味なさそうよね」
「……ふぇ?」
窓の外を眺めたまま、佳菜美ちゃんは私にそんな言葉を投げかけた。
「うーん、白馬くんは王子様って感じがしないからかなぁ…?」
「…どういうことよ?」
「ほら、クールな一匹狼って感じでしょ?」
私が好きなのは、あくまで“ おとぎ話 ”のような王子様だからね!

