「……白馬くん!」




突然名前を呼ばれて、下を向くと


──…あの日と変わらないそいつの姿があった。




変わったところは、セーラー服ではなくブレザーを着ていることと、

今やけに真面目な顔をしているということ。




「なに?」




そう尋ねてやると、「来てください!」と俺の手を取り、

これまたあの時と変わらない弱い力で俺をどこかに引っ張って行く。




「きゃー! 白馬様が!」

「何あの女ー!」




……うるさ。



そんな声もこいつの耳には届いていないようで、ずんずんと進んで行く。




俺はただ黙って、そいつの小さい背中を見つめながら歩いていた。



触れた手に、ほんのりとした温かさを感じながら──…