そんな俺と近付いて来る女子たちを交互に見て、

女は「え、え…」と戸惑った様子を見せていたかと思うと



突然俺の手を掴んで




「こっちです!」




と、弱い力で俺を引っ張ってどこかに連れて行く。


正確には、俺が着いて行ってるという形だけど。



それほど女の力は弱いものなんだなと触れた手を見つめながら走っていると、


急に走る足を止め、近くの教室のドアを開け放った。



ぐいっと俺の手を引っ張ってその中に入る。


俺が入ったのを確認すると、ドアを静かにパタンと閉めた。




「…ふぅ…もう大丈夫ですよ…」




ぱっと俺から手を離し、その手を自分の胸に添えて呼吸を整えると

ニコッと微笑んで俺を見る。




…なに、俺のこと助けたわけ?


そんな事したって得なんかしないのに。




「…何でこんなことしたの?」