泣きそうな声で尋ねてくる女。



なにこいつ。

そんなこと気にしてたわけ?


…バカみたい。




「してるわけないじゃん。」




冷たく言い放つように答えると、ほっとしたようにふんわりと微笑む。



…これでほっとするの?




「よかったぁ……

学園の王子様にケガなんてさせちゃったら、大問題ですもんね…」


「………は?」




…王子様って、


「…誰のこと?」


「え? クール王子の、御之 白馬くんですよね?

…あれ? 私、人違いしちゃいました?」




いや、確かに俺は御之 白馬だけど……


クール王子ってなんなの?




「…その、クール王子って……」


「あ、白馬様よ!」




俺の言葉に被せるように再び聞こえたその金切り声に嫌気が差し、


思わず「ちっ」と舌打ちをする。