「友愛、見合いをする気はないか?」



ただ広い食卓で、次々と運ばれてくる料理を、ただ静かに口に運んでいた時。

低く威厳のある声で発せられたその言葉は、やけに大きく耳に届いた。



「えと…お父様?今なんと…」



お見合い、確かにそう聞こえた。

だけど、今までの人生では全く縁のなかったその言葉に耳を疑ったのだ。



「見合いだ。お前も今年で16になるだろう。早く結婚して子孫を残してくれないとだな…」



…また始まった。
口を開けば会社の心配ばかり。

それに、冗談じゃないよ。
私だって年頃の女の子。

気になる異性の1人や2人…


…は、いないけれど、普通の恋愛に憧れていたりはするのだ。



「そこで、だ。お前も話くらいは聞いた事があるだろう。うちの会社の取引先の御之グループなんだが、そちらの奥様が縁談の話を持ち上げてくれてな…」