ある日のことです。
ふたりがいつものように『死合い』をしようと互いの得物を取り出すと…………おや、妹の様子が何やら少し変ではありませんか。



「……どうした」



「…………ないの。あたしの得物が」



なんということでしょう。妹の愛器であるペティナイフがなくなったというのです。



「……昨日は使ってたよな? で、そのあとどうした」



「ちゃんと研いで箱に入れたよ。錆びないように密封して」



流石の兄も妹がナイフを失くしたと聞いては尋常じゃいられません。



妹は知りませんが、兄は妹のことが大好きなのです。それはもう、×してしまいたいぐらいに。