「でも最終的には、二人とも自分の人生からは逃げなかった」
「…………」
「それが一番終わりの良い結末だったのでは」
「それはお主も、だろう」
理事長と目が合う。
ほんとに、まったく…。
「生まれながらに我が孫の世話係になる運命か逃げようともせず、反抗しようともせず、常に従順かつ主君の幸せを願ったお主の方が、すごいと思うぞ」
「…買い被りすぎですよ」
別に逃げようとしなかったわけでもない。
むしろ生まれた時から決められた人生なんて嫌に決まっていた。
でも、それでも。
「結衣は俺の道しるべでしたから」
進む先には必ず結衣がいた。
あいつがいたからこそ、俺が俺でいられるわけだから。
……こんな臭いセリフ、あいつの前では絶対言わないけど。



