Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編





「なら、私のところへ来ませんか?」


雪菜が一通り泣いて少し落ち着いた頃合いを見計らい、私は彼女へと提案した。


「あるべるとの? お屋敷……なんてヤダよ。あたし……見ての通り独りぼっちの貧乏人だよ。恥ずかしいだけじゃない……」


理性を飛ばしてはいても、やはり本質は変わらない。雪菜は自分を恥じていて、私の生活への拒否感はしっかりとあるらしい。


もともとあまり裕福な生活をしていなかった彼女だが、それでも周りへ甘えたり助けを求めないのは、おそらく諦めることに慣れているからだ。


赤子のころに捨てられた雪菜は、それからずっと独りで生きてきた。親の保護が当たり前でない子どもの生活は、子どもの成長に必要な最低限の条件すら満たされないことが多い。雪菜は最初から何もが欠けたまま、今まで暮らしてきたのだ。彼女はそんな自分を恥じている。


恥ずかしいというのはおそらく何かが足りない自分自身への羞恥心と、相手に恥をかかせることへの恐れ。ただ単に理由もなく拒絶した訳でもあるまい。


そこで、雪菜へ私なりの妥協案を示してみた。


「別に王候貴族のように過ごしたり品よく振る舞う必要はありません。あなたはあなたらしくあればいい。過ごす場所も都会ではなく、人が少ない郊外のこじんまりした一軒家ですよ。庭は広く近くには川や森があります。鹿やリスやキツネなんかも見れますよ」